2012-01-01から1ヶ月間の記事一覧

貿易赤字と円高メリット(後編)

(前編より続く)存在しているはずの円高メリットは、どこにいったのだろうか。大きな流れの1つは、原油やLNGを大量に輸入した電力業界に流れ込んでいるような気がする。11年の為替レートは前年比7.2%の円高になっているが、もし、円高がなければ、電力業界の…

貿易赤字と円高メリット(前編)

11年の日本の貿易収支が31年ぶりに赤字となったが、日本のメディアというものは、不思議と事象の一面からしかとらえていない解説ばかりであることに気付く。具体的には、急速に進んだ円高のメリットを指摘する声が小さかったことだ。 2兆4000億円超の赤字を…

投資信託の解約率にみる投資家動向

11年は市場環境が悪化したこともあり、投資信託協会がまとめた10-12月の追加型株式投信の統計をみると、3カ月連続の純資金流出となった。3カ月連続の純資金流出はリーマンショック後の08年10-12月以来のことである。しかし、こうした投資家心理の悪化は、過…

個人向け復興応援国債を再検証

11年12月募集の個人向け復興国債の売れ行きが好調だった。同年9月募集のものより、3年、5年物の利率が0.1%高かっただけなのに、募集額は約3540億円も増えたのである。個人向け国債から「個人向け復興国債」に名称が変わっただけなのに、募集額が倍近いとは、…

最低保障年金導入で消費税率7%増!!

民主党が掲げる最低保障年金を導入すると、現行の基礎年金制度を続ける場合に比べて、75年度で消費税率換算で最大7%の増税が必要になるとの試算が波紋を呼んでいる。26日から始まった各党代表質問でも、社会保障・税一体改革をめぐる議論のなかで、野田佳彦…

31年ぶりの貿易赤字の見方

財務省が25日発表した平成23年の貿易収支が31年ぶりの赤字に転落したことは、国内でモノを作り、輸出をして稼ぐという戦後の日本を支えてきた経済成長モデルが岐路に立たされていることを改めて浮き彫りにした。国内でのモノ作りを守ると同時に、海外で稼ぎ…

国民年金には老齢基礎年金以外のメリットも

毎月15,000円以上も支払わねばならない国民年金保険料。高いなあと思いながらも仕方なく支払っている人も多いと思うが、国民年金は老後に年金を受取る以外に大きなメリットがあるのをご存知だろうか。 「収入が少ないから国民年金保険料を支払うのは気が引け…

欧州はマイナス成長へ

世界銀行は17日発表した世界経済見通しで、財政の深刻な危機にあるユーロ圏の12年の実質経済成長率がマイナス0.3%に落ち込むとの予測を発表した。前回発表の昨年6月時点では1.8%のプラスを見込んでいた。世界経済の成長率は12年が2.5%、13年が3.1%で、それぞ…

大証1部単独上場銘柄が独り勝ち

昨年1年間の日本の主要株価指数は軒並みマイナスだった。日経平均株価は17%下落、時価総額の大きい主力株で構成されるTOPIXコア30に至っては25%下落した。比較的好調だった新興市場でも日経ジャスダック平均株価は6%安にとどまる。断トツのパフォーマンスと…

IMFの資金増強に米国が当然の反発

欧州の債務危機の封じ込めに向けて、国際通貨基金(IMF)が表明した5000億ドル規模の資金増強に暗雲がたれ込める。 発言権の拡大をもくろみ、拠出に前向きな新興国に対し、最大出資国である米国が強硬に拠出を拒んでいるためだ。国際社会の足並み乱れが市場の…

欧州は引き続き不安定でも…

米格付会社スタンダード&プアーズ(S&P)がユーロ圏9カ国の格付けを引き下げた13日。S&Pが昨年12月5日にその可能性を示唆していたことから影響は比較的限定的だった。取引時間中に観測報道が流れた米国市場でNYダウは一時159ドル安まで下押したが、引けは48ド…

議員支出はもっと減らせるはず

岡田克也副総理が「議員歳費8%以上の削減」を打ち上げ、これに民主党の輿石東幹事長が反対する騒ぎとなっている。国民に消費税増税を強いながら、国会議員が自ら身を削ることを後回しにすれば、政権与党に対する信頼は失墜しかねない。こうしたなか「議員特…

官僚主導の増税主義が日本に齎すもの

経済政策の官僚主導はますます露骨になっており、民主党政権は唯々諾々と官僚に従う。復興増税の次には消費増税というわけで、野田佳彦首相は消費増税に「不退転の決意」を表明し、周囲には「不成立の場合、衆院解散・総選挙も辞さない」と漏らしている。増…

中国の景気減速は鮮明に

中国国家統計局は17日、11年通年の国内総生産(GDP、速報値)が物価上昇分を除く実質で、前年に比べて9.2%増えたと発表した。3年ぶりに10.4%と2けた成長を回復した10年から1.2ポイントの成長率鈍化となり、2年ぶりの1けた成長に止まった。欧州債務危機による輸…

つい昔 底値百日 言うたれど 今は機敏で 反発も急

なるほど、古くからの有名な格言に「天井三日、底値百日」というのがある。 かつての相場の動きの典型は、ゆっくりと上昇していき、急勾配を上り詰めたと思ったら、とたんに急坂を駆け下りるように一気に下げる。 そこから再び上昇に転じるまで、長い期間に…

個人投資家が損出拡大させるメカニズム

個人投資家はなぜ損ばかりするのか。この永遠の謎はもうほぼ解き明かされているらしい。 まず答えを言ってしまうと、それは「人間が人間らしく考え行動しているから」だそうだ。どうやら日本人に限ったことではなく、万国共通の事柄らしい。人間が人間らしく…

ユーロショートの建玉が過去最大だが

13日発表されたシカゴマーカンタイル取引所(CME)の国際通貨市場(IMM)では、ユーロの売り越し幅が15万枚台に拡大し、過去最大を更新している。 1月10日時点のユーロ・ドル先物取引非商業部門のユーロポジションは買い持ち29,770枚、売り持ち184,965枚で、差し…

今年はベトナム株に注目

12年の投資先として魅力的な新興国はどこか。新興国投資のカリスマとして知られるグローバルリンクアドバイザーズ代表の戸松信博氏は、「激安」とまで売りたたかれているベトナムを挙げている。ベトナムを代表するVN指数(Vietnam Stock Index=ホーチミン証券…

1月株高は過去の話?

株式相場では、1月は株高、すなわち「1月効果」というアノマリーがある。しかし既に過去の話となりつつあるようだ。確かに今でも、49年の東証再開以後、月別で最も高い月足陽線は1月である。昨年まで42勝20敗、勝率67.7%。堂々の1位である。ただ、昨年になっ…

また消耗戦に突入?の牛丼業界

牛丼業界の競争が今年、いっそう激化しそうだ。松屋フーズが新年早々、松屋の「牛めし」並盛りの定価をこれまでより40円安い280円に改定すると発表、ゼンショーホールディングス(HD)が展開するすき家の牛丼と同価格となった。松屋の攻勢を受け、380円で販売…

自動車各社の低燃費アピール合戦

今年の正月の自動車各社のCMは、さながらエコカーの燃費競争といった感じだった。ダイハツがあの「ブルース」を引っ提げて、「ミライース」でリッター当たり30㎞(JC08モード)をアピールすれば、スズキは香里奈氏を前面に押し立てた「アルトエコ」で「ガソリ…

オリンパス、上場維持で決着の方向

どうやら東京証券取引所が、有価証券報告書の虚偽記載(損失隠し)で監理銘柄に指定しているオリンパスについて、株式の上場を維持し「特設注意市場銘柄」に指定する方向で調整しているという。月内にも最終決定し、公表することになりそうだ。特設注意市場銘…

独仏首脳会談での注目点

日本では祝日のために休場となる1月9日は、フランスのサルコジ大統領がベルリンに向かい、メルケル独首相と独仏首脳会合を行うことになっている。 欧州では30日にEU首脳会合が予定されており、それに先立って、独仏両首脳が前回12月に決定したEUの財政規律に…

ソロス氏「休むも投資」のススメ

著名投資家のジョージ・ソロス氏は、ユーロの崩壊と欧州連合(EU)の分裂は国際金融システムに破壊的な結果をもたらすことになるとの見方を示し、これをインドの各紙が報じた。 ビジネス・ライン紙によると、ソロス氏はインド南部の都市ハイデラバードで、「ユ…

今年、主要国でEPS増加率トップは日本

12年の日本株相場は緩やかに上昇する展開になりそうだと考えているアナリストが多い。。東日本大震災後の復興需要が下支えし、日本企業の13年3月期の経常利益は20%前後の増益になるとの見方が多いためだ。欧米や新興国の増益率を上回る見通しで、好業績が外…

震災後安値で踏み止まった銘柄に注目

11年の個別銘柄のチャートを改めて見返すと、「震災後直後の安値」がフシ目として意識されていたことが分かる。 震災直後、多くの銘柄で株価が急落し、ローソク足が長い下ヒゲをつけた。その後、いったんは戻したものの、再度この水準に接近し、もみ合いにな…

ケータイ=スマホの時代がやってくる

次々にスマートフォン(スマホ)の新製品が投入されるなか、従来型携帯端末の価格が値下がりを続けている。新たに発表される機種も少なくなりつつある。15年度には、従来型の端末が、ほぼ絶滅するという調査結果もある。調査会社「BCN」の調べによると、携帯電…

スマートシティ元年で日本は変わるか

今年より国内数か所で本格的に始動する気になるプロジェクトがある。それは「スマートコミュニティ」だ。 スマートコミュニティというのは、省エネルギーのインフラや次世代送電網(スマートグリッド)などを一括整備する地域のことで、再開発を行う一定の区画…

遠方の相場する人利益あり 近く見ぬだけ迷い少なし

これは、近世いろは相場金言集というものに載っている相場格言である。 この格言の意味を砕いて言えば、「いつも相場を近くえ見ている人よりも、遠くから眺めて相場する人のほうが儲けは多いものだ。近くで見ていないだけ、迷うことも少ないからだ」というこ…

インド株式市場に外国人の参入が認められる

インド政府は1日、外国個人投資家によるインドの株式市場への投資を1月15日から解禁すると発表した。これまで、インドでは外国人投資家の持ち株規制が厳しく、現地の証券取引所で直接株式を買う事ができず、日本では、オープン型投資信託かETF(上場投資信託)…