議員支出はもっと減らせるはず

岡田克也副総理が「議員歳費8%以上の削減」を打ち上げ、これに民主党輿石東幹事長が反対する騒ぎとなっている。国民に消費税増税を強いながら、国会議員が自ら身を削ることを後回しにすれば、政権与党に対する信頼は失墜しかねない。こうしたなか「議員特権はまだまだ切り込めるのではないか」という見方も浮上している。

新旧幹事長が火花を散らす議員歳費は、月額約130万円と年2回のボーナス計600万円を合わせて、年約2200万円ナリ。主要先進国の議員歳費と比較すると、アメリカが約1400万円、ドイツが1015万円、フランスが約924万円なので、大した貢献もしない日本の国会議員の歳費が断トツで高く、公僕とは到底呼べるような状況にない。
議員歳費の8%削減が実現すれば、1人あたり176万円、国会議員全体で年12億7000万円の税金が浮く計算になるが、日本の議員特権はこれだけではない。
1人あたり、月100万円、1年で1200万円の文書通信交通滞在費(しかも非課税!)や、議員会館を無料使用、公設秘書3人を税金で雇用、JR無料パスや航空券の支給、都心の議員宿舎を安価で利用など、至れり尽くせりなのだ。

そして、それぞれに問題点が指摘されてきた。
文書通信交通滞在費は使途報告の義務がなく「ブラックボックス」といわれ、議員宿舎は「ホテル並みに豪華なのに家賃が格安(赤坂宿舎は3LDKで月約10万円、民間相場は50万円前後)」と批判されている。ちなみに、主要先進国議員宿舎なんてものは存在しない。議員パスや航空券についても報告義務がないのだから、当然のようにプライベート使用や水増し請求が指摘されてきた。

ジャーナリストの若林亜紀氏は「歳費や文書通信交通滞在費、公設秘書給与などを合わせると、国会議員1人あたり年約1億円の税金が使われている。歳費2200万円の8%ではなく、1億円の8%を削るべきだ。消費税増税だけでは選挙を戦えないので削減を言い出したのだろうが、09年衆院選マニフェストが結果的に『詐欺』で終わったように、今回も実現しないのではないか」と語る。
この際、議員特権をまるごと事業仕分けしてはどうだろうか。

★国会議員の主な特権
歳費(ボーナス込):年間約2200万円
文書通信交通滞在費:1人月100万円(年間1200万円)(非課税)
公設秘書人件費:公設秘書3人まで税金で、年間計約2000万円
政党交付金:年間320億円、議員1人あたり4400万円
立法事務費:所属会派に月額65万円
議員会館:電話代、光熱費も公費負担
議員宿舎:赤坂宿舎など、一等地に3LDK豪華宿舎の家賃が月額約10万円
JR無料パスと航空券(下記のうち1つを選択)
(1)JR無料パス(グリーン車に乗り放題)
(2)JR無料パス+東京と地元選挙区間の月3回往復の航空券
(3)月4回往復の航空券