今年はベトナム株に注目

12年の投資先として魅力的な新興国はどこか。新興国投資のカリスマとして知られるグローバルリンクアドバイザーズ代表の戸松信博氏は、「激安」とまで売りたたかれているベトナムを挙げている。

ベトナムを代表するVN指数(Vietnam Stock Index=ホーチミン証券取引所上場の全銘柄からなる時価総額加重平均指数)は07年の1,100ポイント台をピークに長らく低迷しており、11年も下げ基調が続き、現在は350ポイント前後で推移している。
その最大の要因は、激しいインフレだ。11年初めに通貨ベトナムドンを10%切り下げたことで輸入価格が跳ね上がったこともあり、CPI(消費者物価指数)はグングン上昇し、昨年8月には23%を超えてしまった。その後は下がりつつあるとはいえ、ようやく昨年10月に22%を切ったところだ。それを抑え込むために銀行の貸出金利も20%台まで跳ね上がっていて、これでは不動産購入の資金を借りることもままならず、不動産市場はフリーズ状態にある。

ただ、ベトナムのCPIの約40%は食品が占めるが、食品価格もここにきて落ち着きを見せ始めており、政府の見通しによれば、CPIは11年末までに19%台、12年末までに10%台まで下がるという。
それが実現すれば、金利も下がり、不動産市場が活発化することなどで株価も一気に反発することが望めるはずだ。
なにしろ個別企業では50%超の成長が見込めるにもかかわらず、PER(株価収益率)が2倍台という、数字上はほとんど業績が期待されていないような超割安銘柄がゴロゴロしている。

しかも、ベトナム株は全体的に下がりすぎていて、もはやダウ平均株価などの海外株の指数とまったく連動していない。見方を変えれば、たとえ他の市場が下がろうとも、それを尻目にまったく異なる値動きも期待できるのだ。
目先でいえば、企業の決算が発表される12年3月までは、株価がもう一段下がる可能性が高いが、そこで好調な企業業績が確認されると大いなる反発も見込める。そう考えていけば、今後大きく下がったところが最大のチャンスとなるに違いない。
ベトナムへは日本から個別株投資も可能で、一時期ブームになった時代もあったが、少しでもリスクを抑えようとするなら、SBI証券のように数少ないベトナム株式の取り扱い会社で買う党方法もあるが、「インデックス投資でも十分である。ベトナム株を組み入れた投資信託や香港上場のETF(上場投資信託)などに目を向けたい。VN指数が400ポイントを切ったところで買うことができれば、少なくとも今後1年間で5割増は見込めるのではないか、というのが上記の戸松氏の見方だ。