欧州は引き続き不安定でも…

米格付会社スタンダード&プアーズ(S&P)がユーロ圏9カ国の格付けを引き下げた13日。S&Pが昨年12月5日にその可能性を示唆していたことから影響は比較的限定的だった。取引時間中に観測報道が流れた米国市場でNYダウは一時159ドル安まで下押したが、引けは48ドル安まで戻した。翌16日の日本でも輸出主力株を中心にさえない動きで日経平均株価は前日比121円安となったものの、目立って売り込まれる場面はなかった。

その背景にあるのは今月12日のイタリア、スペイン国債入札における利回りの低下だ。特にイタリア1年債の利回りは2.73%と、前回12月の5.95%から劇的に低下した。昨年12月21日のECBによる4,891億ユーロに上る期間3年の流動性供給オペが奏功し、一息ついた格好になっている。
ただ、フランス、オーストリアの格下げによるAAA格付国の減少で、S&Pは早くもEFSF(欧州金融安定基金)を1段階格下げしたため、欧州銀行の自己資本比率(Tier1)9%を目指した動きの中で貸し渋り貸しはがしによる不良債権の増大懸念もある。
今後、まだまだ紆余曲折が予想されるため、売り飽き気分が強まる中でも、なかなか日本の主力株の動き芯が入るというところまではいかない。

ただ、こうした流れの中でも、橋梁、道路など、復興関連株の上昇ぶりには目を見張るとともに、物色意欲は頼もしい限りだ。本格的な需要増は来年度だが、阪神・淡路大震災後に比べ需要の長期化が見込まれることや、足元で需給逼迫によるバブル的な動きが出ている分野もあるだけに人気は持続する可能性もある。