最低保障年金導入で消費税率7%増!!

民主党が掲げる最低保障年金を導入すると、現行の基礎年金制度を続ける場合に比べて、75年度で消費税率換算で最大7%の増税が必要になるとの試算が波紋を呼んでいる。26日から始まった各党代表質問でも、社会保障・税一体改革をめぐる議論のなかで、野田佳彦首相と谷垣禎一自民党総裁が火花を散らした。
民主党は、満額で月額7万円の「最低保障年金」と払った保険料に応じて受給額が決まる「所得比例年金」を組み合わせた年金改革案の創設を掲げている。試算は、一体改革の成案とりまとめに向けて、民主党が昨春独自に行った。

資料によると、16年度から新しい制度を導入し順次切り替えていくと仮定し、新制度に完全に切り替わる75年度では、現行制度を続ける場合より25.6兆円、消費税率換算で4.7%分の財源が必要になる。これに、この間の高齢化による必要財源(消費税率換算で2.4%)を含めると、一体改革案で提示された消費税10%への引き上げとは別に、最大で消費税率7.1%の増税が必要になる計算だ。
さらに、必要財源を抑えるために、給付を絞った3つのケースも試算した。この場合だと将来の消費税の引き上げ幅は2.3%-4.9%に抑えられるが、中堅サラリーマン層で年金給付が減る問題を浮き彫りにしている。

谷垣総裁は代表質問で、野田政権が掲げる消費増税を「公約違反」だとして早期の衆院解散・総選挙を迫ると同時に、年金改革について「不都合な真実を隠して、できもしないものをできると言い募る、民主党マニフェストの典型的な手法の繰り返しだ」と批判。一体改革に伴う消費増税関連法案の国会提出前に年金制度改革の具体案を示すよう求めた。
これに対して、野田佳彦首相は「今後、民主党での議論を踏まえ、政府としても給付と負担の検討を進めていきたい」と述べるにとどめ、具体的な言及は避けた。党に下駄を預けた格好で、野田首相は「制度の切り替えには相当長期の移行期間が必要であり、15年の時点で大きな追加財源が必要になるものではない」と説明するのがやっとだった。

政府・民主党は消費増税与野党協議を進めるために、年金制度改革を含む社会保障の全体像を提示する方針を示しているが、制度設計ができていない現状で「大増税」を示唆する試算の提示には及び腰。前原誠司政調会長は26日夕の記者会見で「試算が独り歩きすることを危惧する」と懸念を示し、保険料率をどうするか、あるいは、最低保障年金を一定の所得層から逓減させ一定の所得で最低保障年金をなくすことを検討するがその年収をいくらに置くかなどによって必要財源は変わると説明した。
与野党協議の突破口のはずだった年金抜本改革の提示が、新たな火種となる展開に、岡田副総理も「どういうものを示せば(与野党)協議が可能になるか。そういったこと確認することが先だ」と言葉を濁している。