オリンパス、上場維持で決着の方向

どうやら東京証券取引所が、有価証券報告書の虚偽記載(損失隠し)で監理銘柄に指定しているオリンパスについて、株式の上場を維持し「特設注意市場銘柄」に指定する方向で調整しているという。月内にも最終決定し、公表することになりそうだ。特設注意市場銘柄であれば、指定期間中もオリンパス株の売買は、通常通りできることになる。

東証は、オリンパスが12月に過去の財務情報についての訂正報告書を提出したことを受け、上場維持・廃止の審査を進めていた。訂正後にもオリンパス債務超過に陥っておらず、上場廃止基準に抵触していなかったことや、既存株主への影響などを勘案し、上場維持が適当と判断しているもようだ。
ただ、複数の元経営者が不当な目的で共謀して損失隠しを実行したほか、業務執行を監督・監査する取締役会や監査役会が有効に機能していなかったことを重要視しており、上場維持としても、内部管理体制の改善を求める特設注意市場銘柄に指定する見通しだ。
指定解除には実質的に新規上場と同程度の審査を経る必要があり、3年内に改善しなければ上場廃止となる。また東証は、1000万円の「上場契約違約金」の支払いも求める方向としている。

過去に虚偽記載で上場廃止に追い込まれた主な事例では、西武鉄道が株主数、カネボウ債務超過の面で、それぞれ訂正後に上場廃止基準に抵触し「そもそも上場できない状態だった」(東証筋)のに対し、オリンパスは訂正後の財務情報で債務超過はなく、上場廃止基準に抵触していなかった。
一方、特設注意市場銘柄には、過去に売り上げの過大計上などをしながら増資したIHIなどが指定され、上場廃止を免れたことがある。オリンパスは市場の攪乱要因となる虚偽記載に基づく公募増資をしておらず、過去の事例とのバランスの観点からも、上場廃止ではなく特設注意市場銘柄への指定にとどめる判断に傾いたとみられる。

オリンパスに対する処分は、上場審査や取引を監視する東証グループの自主規制法人が決めることになっている。8日までに、損失隠しに関わったオリンパスの旧経営陣や監査法人などへの聞き取り調査をおおむね終了。市場の混乱を長引かせないためにも、今月下旬に5人の理事で構成する臨時理事会を開き、判断する考えだ。
しかし、東京地検の捜査結果や取締役責任調査委の報告書、金融庁の処分はまだ出ていないばかりか、自主規制法人の理事の意見調整もこれからという段階。自主規制法人内には、上場廃止に相当するとの意見も一部で出ているもようで、判断の延期や、上場の廃止の可能性が残っていないわけではない。個人的には一度上場廃止にすべきだと思っているのだが…。