ケータイ=スマホの時代がやってくる

次々にスマートフォン(スマホ)の新製品が投入されるなか、従来型携帯端末の価格が値下がりを続けている。新たに発表される機種も少なくなりつつある。15年度には、従来型の端末が、ほぼ絶滅するという調査結果もある。

調査会社「BCN」の調べによると、携帯電話全体の月間販売台数に占めるスマホの割合は、11年6月に初めて50%を超え、その後数ヶ月は60%弱で推移。「iPhone 4S」の発売をきっかけに、10月には一気に70.0%にまで跳ね上がった。その一方、従来型携帯電話の販売数は、わずか1年で半分にまで落ち込んだ。
ここにきてスマホにのめり込んでいるのがKDDI(au)。初のスマホIS03」を発売したのは、まだ1年ちょっと前のこと。だが11年秋冬商戦向けに発表された新機種では、11機種のうち6機種をスマホが占めた。
ソフトバンクに至っては、もう従来型への未練すらない。全12機種のうち、モバイルWi-Fiルーターなどのデータ端末を除くと、従来型の端末は「105SH」の1機種のみ。

背景にあるのは、通信事業者(キャリア)におけるスマホの位置づけだ。最新機種であるはずのiPhoneの64GBモデルでもすでに月額の実質負担額880円で購入できるほか、11年春夏モデルの「001SH」は実質負担金が0円を掲げている店舗もある。KDDIスマホでも似たようなものだ。発売時には5万円程度で売られていたスマホの11年夏モデルは、現時点では2-3万円台に値下がりしている。
これはもちろん、通信各社が販売店に販促手数料を支払っているためだ。
なぜ、キャリアは端末では赤字になってもなおスマホにシフトしようとしているのか。従来型携帯電話においてもこのような割引作戦がキャリア3社で展開されたが、この時には、各社がシェアの囲い込み合戦を展開していたことが大きな理由だった。しかし、今回はちょっと違う。キャリアはスマホでのデータ通信料を新たな収入源として位置づけているためだ。
例えば、NTTドコモが11年7月29日の第1四半期決算発表会で明らかにしたモニタリング調査の結果によると、11年3月に3,500円程度だったiモード利用者のパケット通信料(ARPU、1人当たりの月間売上高)が、4月のスマホへの機種変更で、5月には5,200円に上昇したという。
つまりスマホへの移行で、月額1,700円程度パケット通信料の押し上げ効果があるということだ。端末の販売は1回限りだが、通信料は毎月継続するため、スマホ端末自体は赤字であっても、販売すること自体が重要であるということだ。

数年後には「ケータイといえばスマホのこと」という時代がやってくるのは間違いなさそうだ。15年には携帯電話端末市場は3500-3600万台に成長すると予測されているが、そのほぼ全てをスマホが占めるだろうといわれている。従来型携帯電話は、「らくらくホン」のような操作が簡単な端末や、音声通話が主な用途の端末などが、天然記念物程度に残る程度で、ほぼ絶滅するものとみられている。