欧州はマイナス成長へ

世界銀行は17日発表した世界経済見通しで、財政の深刻な危機にあるユーロ圏の12年の実質経済成長率がマイナス0.3%に落ち込むとの予測を発表した。前回発表の昨年6月時点では1.8%のプラスを見込んでいた。世界経済の成長率は12年が2.5%、13年が3.1%で、それぞれ1.1ポイント、0.5ポイントの下方修正。欧州景気の悪化による影響が広がる恐れが強まってきた。

世界銀行は報告書の中で「世界経済は重大な下振れのリスクと脆さを伴う非常に難しい局面に入った」と明記した。欧州の財政危機が金融の混乱や貿易の縮小を通じて、先進国と途上国のマクロ経済に悪影響を及ぼしたと分析した。欧州の民間銀行の融資態度が慎重になることも背景に、途上国に対する資本流入が半減。欧州については「景気後退期に入ったようだ」とも指摘した。
ユーロ圏は12年に金融危機下にあった09年以来3年ぶりのマイナス成長になると予想。13年も1.1%の低成長にとどまるという。経済協力開発機構(OECD)は昨年11月に発表した経済見通しで、欧州で債務危機が深まる「悲観シナリオ」として、日米欧がマイナス成長になるとの懸念を示していたが、世銀は通常の経済見通しでユーロ圏がマイナス成長に陥ると予測した。

一方で日本の実質成長率はプラスで推移する見通しだ。12年は1.9%、13年が1.6%となり、前回に比べそれぞれ0.7ポイント、0.4ポイントの下方修正となったが、世銀は日本について米国と並んで「(経済)活動が比較的強い」と評価した。
途上国全体でみると12年は5.4%のプラス成長となり、0.8ポイント下方修正した。中国は12-13年に8%台前半の成長になると予測。11年まで9%以上の成長が続いたのに比べやや減速する。