2013年はつかの間の晴天予報か(前編)

12年の日経平均株価は年足が3年ぶりに陽線を引き、しかも13年ぶりの高値引け。市場参加者がこれほど明るい気分で新年を迎えられたのは、本当に久方ぶりだ。株式市場の上空に長く垂れこめていた超円高の厚雲が去って、代わりに張り出してきたのは先高期待の高気圧。新年相場についても「日経平均の11,000円台はすでに射程圏」(広木隆・マネックス証券チーフ・ストラテジスト)と、今のところは晴れ予報が大勢だ。市場の期待通りに世界景気が順調な回復過程をたどるとすれば、昨年暮れまでの売られすぎの修正相場から、13年は12,000円を目指す本格的な反騰相場に転換する可能性がある。

日経平均の週足チャートをみてみると、株価は昨年12月、下値支持線と上値抵抗線の間で4年越しで形成してきた三角もちあいを明確に上抜けた。このトレンドラインを上に抜けたところで、日本株のPBR(株価純資産倍率)が1倍を回復したのは何とも象徴的だ。意味するのはリーマン危機後に続いた弱気相場の終わりと、日本の株式市場の正常化とでも言えようか。

日銀に「次元の違う金融緩和策」を迫る自民党の政権復帰を先取りする形で、為替市場では超円高相場が収束に向かい、株式市場では為替効果による企業業績の改善と、公共投資の拡大による景気てこ入れへの期待で株高が始まった。
ただ、ここまではすべて「期待」を背景にした円と株価の戻り。今後、株式相場はデフレ脱却と企業業績の急回復という、2つの期待が本当に現実のものとなるかどうかを確認しながら、上値を試しにいくことになる。裏を返せば、期待が空振りに終われば上げ相場は早々に息切れしかねない。

「目先の株高材料として注目すべきは1月下旬に開かれる日銀の政策決定会合」。BNPパリバ証券の丸山俊チーフストラテジストはそう話す。自民党政権の求めに応じ、日銀が次回の決定会合でインフレ目標を定めるところまでは既定のこと。問題は、その目標を実現するためにどんな政策を打ち出すかだ。「無制限の緩和」など、これまでの日銀と次元の異なる緩和策が出れば、「日経平均の11,000円台乗せもある」というのが丸山氏の見方だ。
一方の企業業績は、円高是正の効果が明確に表れるのは来期(2014年3月期)になってから。足元の1~3月には、昨年秋口からの輸出と生産の不振などで、ぱっとしない第3四半期決算や通期見通しの発表が相次ぐ可能性がある。春先までに相場はいったん調整する場面を迎えてもおかしくない。

では、株価が11,000円を超えてなお上昇を続けるカギは何か。多くの市場関係者が13年の日本株相場を左右する、最も大きな要因とみているのは米国景気の動向だ。

(後編へ続く)