今年の世界経済見通しを下方修正

国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は24日、ワシントン市内で講演し、近く発表する最新の世界経済見通しで12年の世界全体の実質成長率を下方修正する方針を示した。欧州債務危機や米景気など下振れリスクが増しているためとしている。

ラガルド氏は世界経済について、「依然リスクをはらみ、成長は直近の予想からさえも若干鈍化する」との見解を示した。IMFは7月に12年の世界全体の成長率を4月予想時点の3.6%から3.5%へ下方修正したが、10月上旬の見直しでさらに引き下げる。

ラガルド氏は「欧州が引き続き危機の震源地だ」とし、スペインなどを念頭に銀行の資本増強や、ユーロ圏の金融監督を一元化する銀行同盟の推進を強調。さらに、「もう一つの大きなリスク」として、米国が来年実施する緊縮財政が景気へ与えるショックについて警告し、対策を促した。
ラガルド氏はまた、新興国の発言力を高めるIMFの機構改革について、「10月が無理でも、なるべく早く達成する」とし、当初予定した10月の東京総会での具体化は困難で先送りされるとの見通しを示した。