シャープの危機は投資家の格好のおもちゃ(後編)

(前編より続く)

とはいえ、8月に今期の業績予想を大幅に下方修正し、株価が急落したときに比べ、やや落ち着きは取り戻しつつある。しかし一方、別の指標はシャープの破綻(はたん)を前提とした動きが続いている。
クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は、シャープの保証料率が上昇を続け、投資家など市場参加者がシャープ破綻への警戒感を緩めていないことを示している。

CDSは企業が破綻し債権や社債などの支払いができなくなった場合、金利や元本に相当する支払いを受け取る保険的な仕組み。シャープは8月中旬から上昇を続け、9月7日に2千ポイント台に突入し、同14日には過去最高を記録。今も上昇傾向が続いており、「投資家はシャープの破綻を織り込み済み」(証券アナリスト)と推測する。
シャープは、台湾・鴻海精密工場との出資協議の見直しで9月中の合意を目指している。その行方はまだ見えず、交渉の結果次第では株価などの乱高下が予想されるだけに、投資家にとっては格好の"玩具"なのかもしれない。