シャープの危機は投資家の格好のおもちゃ(前編)

経営再建中のシャープを巡り、株式市場でマネーゲームが続いている。株価は200円をはさんだ細かな値動きで、出来高はやや落ち着いた様相。ただ、株価が下がれば、利益が得られる信用取引空売り残がこれまでにない高水準で推移している。あるアナリストは「シャープ株は個人投資家の"玩具"」と指摘している。

東京証券取引所が発表している信用取引の週末残高によると、シャープ株の9月11日時点の空売り残は6792万株、買い残は7337万株。これは過去20年で最高の水準という。「投資家の予想は株価の上昇、下落双方に分かれている」と関係者は解説する。
一方、株価は8月15日に年初来安値164円を付けた後にリバウンドし、8月29日に一時240円まで回復した。以後の終値は200円前後で推移。出来高も8月29日に2億4千万株の取引があったが、少しずつ落ち着きを取り戻し、9月は12日を最後に1億株を切っている。

シャープ株の値動きや売買状況について、大手証券アナリストは「機関投資家は株価が一定の水準以上動くと、利益を確定する。大きな値動きや目立った判断材料がない今、取引をしているとは考えづらい」と指摘する。言い換えれば、シャープ株を売買している現在のプレーヤーは個人投資家が中心というわけだ。
岩井コスモ証券の有沢正一シニアアナリストも「200円という株価は個人が仕掛けやすい水準だ。値が動いているから売買に参加しようという思惑が値動きの大半だろう」と話す。

(後編へ続く)