シャープ再生に公的資金投入?(後編)

(前編より続く)

そこで急浮上してきたのが企業再生支援機構の活用だ。同機構は10年1月に2兆円を超す負債を抱えて会社更生法の適用を申請したJALを、わずか2年8カ月で再上場までもってきた。
「機構の新たな出資先としてシャープに資本注入するという観測が広がっている。現在、シャープの有利子負債は1兆円を超えるが、機構はJALに3500億円出資し、19日の再上場で約6633億円回収するので資金量は問題ない。そのシナリオを進めているのが経済産業省とみられている」と準大手証券ストラテジストは解説する。

JALとの違いを指摘する向きもある。「公共性の高い航空会社と電機メーカーでは性格が異なるため、公的資金で救済することへの異論もある。また、JALのように破綻処理した後の資本注入となれば、既存株主の持ち株は紙クズになってしまう」(同)。機構の資本注入は「究極の劇薬」ともいえる。
前出のアナリストは「取引銀行側も機構の支援が決まるのであれば、心置きなく逃げ出せるはず。鴻海は破綻してから出資した方が安く買えると思っていてもおかしくない」と皮肉を込める。
格付け会社が相次いでシャープを「投機的」にまで格下げし、社債の破綻リスクを示すCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の数値も2,000bp(20%)を超えるなど日本企業の中で突出して高い。市場の視線は厳しさを増すばかりのシャープだが、国に頼るしかないのか。