シャープ再生に公的資金投入?(前編)

創業100周年を迎えたシャープ。台湾の鴻海精密工業との増資交渉が難航するなか、驚くべき構想が浮上している。官民出資ファンドの企業再生支援機構が資本注入して再建を図るというのだ。日本航空(JAL)を短期間で再建させた同機構がシャープにとって究極の切り札となるのか。

米アップルの新機種「iPhone5」が発表されたのが日本時間13日未明。これを受けて部材を供給するとみられるメーカーの株価が急騰したが、液晶パネルを供給しているはずのシャープの株価は横ばいだった。
「高性能液晶の量産に手間取ったと伝わり、アップル向けが支えると期待されていた中小型液晶パネル事業の回復シナリオに不安感が広がった」(米系金融機関幹部)というのだ。

シャープは今年3月、鴻海と資本提携で合意したが、その後の株価急落を受けた条件見直し交渉が難航している。取引銀行団が3000億円規模の追加支援を行う話も浮上しているが、「当面の資金繰りは支えられても、本業の赤字が続けば依然苦しい。鴻海との交渉が決裂したら信用不安が一気に高まることになる」と電機担当アナリストはみる。

(後編へ続く)