スポーツイベントの家電特需は昔話

8月のデジタル家電製品全体の販売額は前年同月に比べ23.6%落ち込んだことが、市場調査会社BCNが11日集計した全国家電量販店の店頭販売データで明らかになった。薄型テレビの販売が前年同月比54.0%減ったことが響いた。昨年の家電エコポイント制度終了や地上デジタル放送への移行に伴う需要の先食いで、期待されていたロンドン五輪による特需は埋もれてしまった格好だ。
 
BCNの道越一郎アナリストは「五輪に限らないが、スポーツイベントによるデジタル家電の特需は近年、ほとんど見られなくなってきている」と指摘する。デジタル家電製品の販売額は昨年8月以降、13カ月連続で前年割れとなった。薄型テレビの販売不振が今夏も続いているからだ。
 
これに対し、テレビやデジタルカメラに取り付ける周辺機器の販売は堅調に推移している。特に、ミラーレス一眼人気を背景に、デジタルカメラの交換レンズの販売本数は、7月に前年同月比43.0%、8月に28.9%それぞれ増加するなど好調が続く。平均単価も5万円弱の水準が続き、安定している。
今後のデジタル家電市場について、道越氏は「薄型テレビやスマートフォン(高機能携帯電話)を基盤とした新たな展開によって回復するだろう」と分析している。