厚労省の概算要求が30兆円突破

厚生労働省は5日、13年度の概算要求をまとめた。高齢化に伴う年金や医療費の自然増は今年度比27%減の約8400億円。一般予算総額は自然増の全額計上が認められたため、今年度比2.9%増の30兆266億円となり、初めて30兆円を超えた。政府が重点配分する枠には、革新的な医療機器の開発支援や在宅医療の充実を要望する。
 
例年、社会保障の自然増は1兆円前後だが、13年度は8412億円となる。来年75歳になる世代の出生率日中戦争の影響などで低いのが理由。75歳以上の高齢者に適用される医療費の自己負担は1割で、厚労省は医療費に絡んだ予算を抑制できると説明している。例年であれば要求額の伸び率は2.9%を上回っているが、13年度は伸び率が抑えられた。
ただ、厚労省の概算要求は「予算編成過程で検討する」とした調整項目も多く、実際の要求額はさらに膨らむ可能性がある。70-74歳の医療費自己負担は原則2割だが、これまでは予算措置で1割に抑えてきた。今回の要求額は2割負担を前提に策定した。1割負担を維持することになれば、予算額はさらに2000億円程度増える。
 
生活保護の支給基準額は年末に向けて調整する。中小企業の会社員が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)の補助金は削減する前提だ。
政府の日本再生戦略に関する特別枠では、1088億円を要求する。革新的な医療機器、医薬品の開発支援などで411億円を要求する。生活保護受給者の就労支援など低所得者対策には142億円を投じる。