積立投資のやめどき

積立投資はいつやめるのがいいのかまでを真剣に考える人は少ない。だが、肝心なのは『終わり』のタイミング」と反すのは「積立投資のすべて」の著者、星野泰平氏だ。
 
投資信託などの積み立ては、あらかじめ、毎月の購入額を「1万円」、購入日を「15日」などと設定しておけば、あとは金融機関が自動的に買い付けてくれる。時間分散の効果があり、高値掴みの心配がない。「本業の仕事が忙しい人にも老後資産作りの手法として向いている」(星野氏)という。
しかし長期継続を前提とすることもあり、いったん始めたら、あとは放ったらかしという投資家も少なくない。心に隙が生まれ、大切なことを忘れがちになる。それが売却のタイミングだ。
当たり前の話だが、積立か一括投資家にかかわらず、最終的な投資リターンは売却価格によって決まる。例えば60歳で収入がなくなり、いざ積立資産を売ろうとしたら、価格が平均買い付けコストを下回っていて元本割れしていた、なんてこともありうる。
 
売ろうとしたときに、リーマンショックのような相場暴落に見舞われたら、目も当てられない。だが、事前には最善の売り時はわからない。
そこで、多くのFPがアドバイスするのは、リタイア時まで待つのではなく、その数年前から売却のタイミングを見計らうことだ。
竹川美奈子氏は、「60歳を想定するなら55歳ごろから株式など値動きの大きい資産の比率を減らし、預貯金などの安全資産にシフトしたい」と助言する。神戸孝氏は「リタイアが近づくほど投資の目標額は明確になる。資産が5割上がったら半分は売るなどして利益を確定する」ことを勧める。
「老後資産づくりは60歳がゴールではない。なくなるまでに必要額を用意できればいい」と話すのは深野康彦氏。「積み立てていた資産が60歳のときに急落したら、70歳まで取り崩さずに待つという気持ちも大切。そのためには、取り崩せる別の運用資産を何本か同時に走らせておく」と提案する。