外貨資産比率3割説は本当か

外貨資産の比率はよく「余裕資産の3割が目安」といわれるが、科学的な根拠はあるのだろうか。投資助言会社のイボットソン・アソシエイツ・ジャパンが試算したエータがある。
 
円資産しか持たない、つまり外貨比率が0%のケースから、10%、20%、…、100%と比率を高めていくにしたがって、資産全体の価格変動リスクと期待リターンがどう変わるかを比較してみた。リスクの割に高いリターンを期待できるような組み合わせが最適解となるわけだが、最適な外貨比率は30-40%あたりであることが分かった。30%の時のリスクは9.3%、期待リターンは4.3%だ。例えば外貨比率を70%に引き上げると、期待リターンは4.7%と多少高まる一方、逆にリスクは11%と大幅に増加する。逆に外貨比率を引き下げると、リターンの低下以上にリスクが増えるという結果だ。
 
ポートフォリオに外貨資産を3割組み入れると、ボラティリティが抑えられることは、プロの投資家の間では共通する認識」(イボットソンの小松原宰明チーフ・インベストメント・オフィサー)。もちろん投資対象など前提によって試算結果は変わるが、目安になりそうだ。
FPの神戸孝氏は「物価上昇と景気低迷が王子に起きるスタグフレーションのリスクは想定しておきたい。国内の株式や不動産ではヘッジできないので、海外の不動産投資信託(REIT)などによってある程度備えるとよい」と助言する。
藤川太氏も「金融資産の2-3割を上限に、資源価格に連動しやすい投信や、豪州、ブラジル、ロシアといった資源国の資産に投資してもよい」と話す。