カーシェアリング事業が軌道に乗り始めた

駐車場運営が主力のパーク24(4666)と日本駐車場開発(2353)が新規事業として取り組んでいるカーシェアリング事業の営業損益が水面下から脱する公算が大きくなっている。事業の認知度が高まって利用者が増加、売上高が費用に見合うだけの水準に近付いている。
カーシェアリングは会員同士で自動車を共同利用できるようにするサービスで、車を頻繁に利用しない人にとっては経済的だ。「所有よりシェア」といった風潮もあり、市場規模は急拡大している。調査会社の矢野経済研究所は13年には09年比約24倍の152億円に拡大すると予想している。
 
パーク24の12年10月期のカーシェアリング事業の営業損益は、損益均衡になる見通しだ。前期は8億5000万円の赤字だった。同社は09年10月期からこの事業に参入、会員数は12年2月末時点で約9万人となり、1年間で約2.5倍に膨らんだ。車両購入費用や、減価償却費、メンテナンス費用などの負担が重かったが、利用者数の増加で、今期の売上高は前期の約2.7倍の45億円を見込み、損益が改善する。
 
日本駐車場開発も、11年7月期は営業赤字だったが、12年7月期は損益均衡まで改善する見込みだ。会員数が12年1月末時点で前年の約2倍に増加していることが効く。営業車両をカーシェアリングに切り替えるとコストダウンにつながる点を企業にアピールしている成果が表れている。
16年7月期に5億円程度の営業利益を確保できる規模まで拡大させる方針だ。
 
両社は主力の駐車場運営事業で土地や駐車場を所有者から借りて、顧客に転貸している。駐車場は常に満車になっているわけではなく、「空きスペース」が生まれる。その空きスペースにカーシェアリング用の自動車を置くことで、収益拡大につなげようという発想だ。
矢野経済研究所の中元直史上級研究員は「カーシェアリングは今後も都市部を中心により浸透していく」と予測している。
来期以降、カーシェアリング事業が両社の収益の下支えになりそうだ。