意外なスペイン国債の人気ぶり

スペイン政府は19日実施した2年債(14年10月償還、表面利率3.3%)と10年債(22年1月償還、表面利率5.85%)入札で、合計約25億ユーロ(33億ドル)を調達した。これは15億-25億ユーロとしていた調達目標の上限で、堅調な需要が確認された。
10年債の平均利回りは1月に実施された前回入札に比べやや上昇したが、2年債、10年債とも、入札直前の流通利回りをわずかながら下回った。市場関係者の見方は以下の通り。
 
モニュメント・セキュリティーズのストラテジスト、マーク・オストワルド氏によると、入札結果で最も心強い点は、2年債よりも10年債による調達額が多かったことだとしている。なぜなら、逆だった場合、期間が短い債券による資金調達に頼らざるを得ないと人々が感じ、全般的な債務水準が上昇している時に借り換えに問題が生じていると受け止められるからだ。
国内勢による大量の需要があったことは明らかで、応札の多くは国内金融機関や公的機関からのものだった。
今回はハードルを乗り越えたが、次のハードルが現れるのはそう遠くない。
 
次に、クレディ・アグリコル金利ストラテジスト、ピーター・チャットウェル氏は、強弱まちまちの入札結果となったとみている。スペイン財務省の立場からすれば、想定していた最大額を調達し、良い結果と言える。
一方で、ドイツ10年債が急上昇したり、一部に失望感が生まれているのは、若干ながら価格が流通市場を下回ったことが理由だ。
しかし、市場のボラティリティーが高まっていることを考えれば、私はこれ以上の深読みはしない。今回の入札ラウンドは無難に通過した。
 
最後にスピロ・ソブリン・ストラテジーのMD、ニコラス・スピロ氏は、スペインを取り巻く神経質な状況は明らかに緩和されたと捉えている。最優先事項は、調達額が目標に達することだったが、国内の銀行が引き続き応札したことでこれを達成した。利回りの上昇は既定事実だった。
スペイン国債市場は、ファンダメンタルズが少なくとも流動性と同じくらい入札結果を左右するという危険な「ポストLTRO(長期資金供給オペ)」段階に入っている。1月のような良好な状況は遠い昔の話だ。
 
今週のスペイン国債入札は比較的成功だったといえるが、一時的猶予以外の何ものでもないだろう。