やはりの雇用の伸びの鈍化

バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は先月、企業は緩やかな経済成長という局面に合わせて労働力を調整するため、雇用の伸びは鈍化する可能性があると警告していた。6日に発表された米雇用統計は、その確かさを裏付けたかもしれない。
3月の非農業部門雇用者数は前月比12万人増と、この5カ月で最も低い伸びとなった。職探しを休止する人が増えたことから失業率は8.2%と、前月の8.3%から低下した。

ブッシュ政権で財務次官補を務め、現在はメリーランド大学で教えるフィリップ・スウェーゲル氏は、「バーナンキ議長は世界で最も大きな『ほらね、言った通りでしょう』の言葉を発しているはずだ」と指摘。「FRBにとっては、現行の緩和的スタンスを継続することへの一定の安心感が生まれたに違いない」と続けた。
ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズのチーフエコノミスト、ジョン・シルビア氏は、この日の雇用統計を受けてFRBが次回24、25日の連邦公開市場委員会(FOMC)で資産購入拡大を決定したり、14年遅くまで政策金利をゼロ近辺に維持する方針を変更することはないとの見方を示す。
シルビア氏はその上で、4月と5月の雇用関連指標が失望を誘う内容となった場合は、6月のFOMCで追加緩和を決める可能性が高まるかもしれないと指摘した。

今回の雇用統計に対する米金融当局の反応をより深く知る機会は、8日の週に訪れる。イエレンFRB副議長は11日にニューヨークでスピーチする。ニューヨーク連銀のダドリー総裁は12日にシラキュースで講演予定。バーナンキ議長は9日、金融安定をテーマとした講演を行う。