ECBのLTRO効果なくなる

スペイン政府は4日の入札で、国債約26億ユーロ相当を発行。発行高は目標レンジ(25億-35億ユーロ)の下限付近となった。借り入れコストも上昇。欧州中央銀行(ECB)による緊急流動性措置の効果が薄れつつあることがうかがわれる。
 
スペイン銀行(中央銀行)が明らかにしたところによると、15年1月償還債の平均落札利回りは2.89%と、3月15日入札時の2.44%を上回った。16年10月償還債は4.319%(3月1日は3.376%)に上昇。20年10月償還債の利回りは5.338%となった。
ECBが2回にわたり3年物資金オペ(LTRO)で銀行システムに供給した1兆ユーロ余りが、スペインの調達コストを抑えるのに役立ってきた。ECBのドラギ総裁がLTROについて発表した昨年12月8日以後、利回りは最大で95ベーシスポイント(bp)下がった。スペインの銀行の自国国債保有高は1月に2200億ユーロと、昨年11月の1780億ユーロから増えていた。
 
クレディ・アグリコルCIBの債券ストラテジスト、ピーター・チャットウェル氏は、「現実に引き戻された。LTROの効果は使い果たされ、スペイン債の需要は今や、価格設定に大いに左右される」と指摘した。
スペイン経済・財務省は電子メールで声明を配布。12年の債券発行計画の47%は完了したとし、「流動性は十分で、市場に無理強いする必要がない」と説明した。
しかし、ロンドンのスピロ・ソブリン・ストラテジーのマネジングディレクター、ニコラス・スピロ氏は電子メールで、「この日の入札がスペインにとって流れが変わる前触れであることはほぼ確実だ」と指摘している。
 
15年償還債の応札倍率は2.41倍と、3月入札時の4.96倍を下回った。16年償還債は2.46倍(3月1日は2.59倍)。20年償還債は2.96倍だった。
スペインの12年予算案によると、今年の債務は国内総生産(GDP)の79.8%に達する。政府は30年で最大の歳出削減を目指している。ラホイ首相はこの日、スペインの状況は「極度に困難」と発言した。