増税先送りの根拠にもなりうる「景気条項」

かねてより、ブログで小生も伝えているが、消費税増税は景気の足を引っ張る懸念が指摘されている。このため、増税関連法案は景気が悪化した場合には増税を停止する「景気弾力条項」を盛り込んだ。

民主党の事前審査では、増税反対派が経済成長率の目標達成を増税の条件として追加するよう要求。最終的に「経済状況の好転」を条件とし、「名目3%、実質2%程度」の目標値を入れることで決着した。この目標は増税の条件とせず、あくまでも努力目標としているが、数字が独り歩きして増税先送りの根拠になる可能性もある。
今回の消費増税は14年4月に8%、15年10月に10%まで2段階で上げる。政府は増税の可否を実施の半年前に最終判断する方針だ。第1弾の判断は13年秋で、その際の経済状況が目標からかけ離れていれば反対論が再燃しかねない。

実際、目標の実現を疑問視する見方も多い。
日本経済は物価が持続的に下落するデフレが長引き、98年度以降、名目成長率が物価変動の影響を除く実質成長率を下回る名実逆転が続く。しかも過去10年の名目は最も高くて10年度の1.1%に留まる。
政府は12年度の成長率について、東日本大震災の復興需要により名目2%、実質2.2%の高い伸びを見込むが、エコノミストの間では「復興需要の息切で、13年秋には失速する」との悲観論も強い。
目標はデフレの脱却を果たし、名目も高い成長率を実現することを意味するわけだが、それを達成するためのハードルはかなり高い。