三菱UFJFGは再び勢力拡大期に

三菱UFJフィナンシャル・グループは、米国の地銀買収に数千億円規模で投資することを検討している。同行は08年に米地銀のユニオンバンカルを完全子会社化したほか、今月も地銀買収を決めるなど米国での商業銀行ビジネスに力を入れており、さらに規模を拡大して収益力を高める狙いだ。

4月1日に就任した三菱東京UFJ銀行の平野信行次期頭取はインタビューで、米国での商業銀行経営について、「もう少し規模を大きくすることで収益力とプレゼンスを高めたい」と地銀買収に意欲を見せた。ユニオンバンカル(カリフォルニア州)近い西海岸を軸に「拠点がないというより薄い地域」などを念頭に置いている。
債務問題で欧州の金融機関が資産圧縮を急ぐ中、新自己資本規制(バーゼルⅢ)への対応をほぼ終えた大手邦銀の資産買収の動きが注目されている。三井住友フィナンシャルグループが1月に英ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)の航空機リース部門を買収すると発表するなど国際金融市場での邦銀の存在感は高まっている。

三菱UFJRBSのプロジェクトファイナンス関連事業を約38億ポンド(約5070億円)で買収した。平野氏はこの案件について、欧州で足りなかった分野を補う内容だと指摘。「こういう特定分野の強化につながる買収は今後も検討したい」とし、商銀機能向上に向け「足りないもの、より強化したいものは買収しても加える」と強調した。
平野氏は同行の海外戦略について「グローバルな投資銀行業務は(提携先の)モルガン・スタンレーに任せ商銀機能を強化したい」とし融資、決済のほか、商銀に必要なものに限った金融派生商品の販売などを挙げた。買収規模については、バーゼルⅢで求められる自己資本比率を達成できる範囲で行っていきたい考えを示した。