4月からの生活はこう変わる

新年度入りした4月から、生活や企業活動にかかわるさまざまな制度が変わる。デフレと財政難を背景に公的年金の支給額が減る一方、電気代や食用油は値上げされ、家計の暮らしには大きな痛手だ。また、福島第一原子力発電所事故の避難者を対象にした東北地方の高速道路無料化が9月まで延長、食品に含まれる放射性セシウムの基準が厳格化されるなど、原発事故の影響が依然、人々の生活の中で尾を引いている。
 
物価下落に伴い、年金支給(月額)額が0.3%引き下げられる。国民年金を満額の65,741円受給している人は、200円減って65,541円、夫婦で厚生年金を231,648円受給している標準的な世帯は、708円減の230,940円になる。
医療費は同じ日に同じ病院で2つの診療科を受診した場合に、340円の再診料がかかる。3割負担の人なら窓口での支払いが1回につき100円高くなる。厚生労働省の集計(3月30日)では65歳以上の介護保険料も、全国平均で812円増の月額4,972円、75歳以上が対象の後期高齢者医療制度の保険料は312円増の同5,561円にアップする。薬価は平均6.4%引き下げられ、17%以上値下がりする薬もある。
子ども手当に代わり、4月から支給される児童手当は6月以降、所得制限が導入され、年収960万円以上の世帯は支給額が中学生以下の子供1人当たり、月5,000円に引き下げられる。
 
全国の電力10社が、電気代を値上げする。原発の稼働停止で火力発電の依存度が高まり、液化天然ガス(LNG)などの輸入価格上昇がコストを押し上げた。標準家庭で17-41円の値上げになる。さらに、東京電力は、企業向けの料金を4月以降の契約更新分から平均約17%値上げする。
食用油も原料費高騰で値上げされる。日清オイリオグループJ-オイルミルズは、出荷価格を1キログラムあたり20円以上引き上げる。逆に円高と国際相場の値下がりで、輸入小麦の政府売り渡し価格は平均15%の引き下げ。家庭の料理に使う小麦粉などの商品価格も、下がる可能性がある。国際線旅客の燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)は日本航空全日本空輸が300-1,500円下げる。
原発事故に関しては、食品に含まれる放射性セシウムの新基準値が、暫定基準値に比べて4分の1-20分の1に厳格化される。一般車両を含めた東北地方の高速道路の無料化は3月末で打ち切られるが原則、原発事故の避難者は9月末まで延長。岩手、宮城、福島3県でがれき処理などを行う民間ボランティアの車両も、無料化措置を6月末まで延長する。