突然のトマトブームにカゴメ株が暴騰

日本人とはつくづく熱しやすく冷めやすい、右に倣えの民族なんだなあと思わずにはいられない。インフルエンザの予防効果があるとされるヨーグルトが品薄状態だが、今後はトマトが注目されている。メタボリック症候群の改善に有効という研究発表を受け、売り上げが好調で、ジュースも通常の3倍以上の売れ行きで品切れも相次いでいる。カゴメの株価は16日も昨年来高値を更新するなど、真冬のトマトブームが起きている。

そもそものきっかけは、京都大河田照雄教授(食品機能学)などの研究グループが、中性脂肪を減らす働きがある成分をトマトから発見したということが、10日付の米オンライン科学誌「プロスワン」に掲載されたもので、これが各種報道で取り上げらたことに始まる。
もともとトマトは健康野菜として知られ、摂取量の多い人には脂肪肝や高中性脂肪血症などが少ないという調査例もあった。こうした効果に注目した研究グループはトマトの果汁成分から、脂肪を燃焼させる遺伝子を増やす物質を探し、「13-oxo-ODA」というリノール酸の仲間を発見した。この成分を肥満マウスの餌に0.02~0.05%混ぜて4週間飼育すると、血糖値が約2割、血中の中性脂肪濃度が約3割減り、脂肪燃焼の指標となる直腸温も0.5度以上上がっていた。人間に換算すると、生トマトなら1食あたり2-3個、トマトジュースを1日3回200mlずつ飲むのに相当する摂取量だという。

これが先週末に報じられ、店頭では翌日からトマトやトマトジュースの売れ行きが上昇。私も翌日に近くの大型スーパーに寄ったが、900gペットボトル入りの野菜ジュースは普通に売れ残っているのに、トマトジュースだけが品切れ状態だった。
カゴメによると、「店頭で通常の3倍以上の販売量で、それ以上の発注が来ている。商品によっては品切れになっているものもある」(広報グループ)という。ただ、製造工程上、一気に増産するのは簡単ではないという。
「いつ、どのぐらい飲めばいいのかという問い合わせも相次いでいる。うちが発表したものではないのですが…」(同)というから、カゴメも有難迷惑だろう。

戸惑うほどの話題に株式市場も反応し、16日までカゴメの株価は8営業日続伸、1,606円と昨年来高値を更新する場面もあった。毎日の食卓にヨーグルトとトマトジュースという家庭が増え続けるとは思えないし、カゴメの収益がこれで際立って改善されるとも思えないが…。