世界から取り残された日本のETF市場

日本証券経済研究所は、世界の上場投資信託(ETF)市場を概観し、遅れた日本市場を活性化するには「海外証券、コモディティ、日本債関連など投資家ニーズが高いと思われる商品の品ぞろえの充実が考えられる」(杉田浩治氏)と提唱した。

ETFは初の商品化から約20年が経過する。08年のリーマン・ショック後もせかいの投信残高が減少に向かう中で資金流入が続き、昨年11月末の残高は、約1兆3475億ドルと07年を69%も上回ったという。本数も3,000本に接近し、世界の全投信残高に対する割合は5%を超える。
日本では、本数こそ06年の13本から昨年11月末には87本に増えた。しかし、残高は2.8兆円に過ぎず、世界シェアは3%と、5年前の6%から後退したという。これだけの円高でドル換算額では06年よりもかなり嵩増しされているのにもかかわらず、である。
考えられる理由としては、

  1. 日本株の魅力低下
  2. 販売チャネルが証券会社に限られる
  3. 投資家の認知度不足
  4. 顧客から手数料を受け取って資産管理を助言する専門家の不在

などが挙げられている。
世界では今後、アクティブ運用型が増える方向。日本でも認知度は徐々に高まるとみており、新しい商品や販売手法の開発で投資家層を大きく広げることが課題だと指摘する。