FRB議長が米財政赤字の拡大に異例の警鐘

米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は2日、米下院予算委の公聴会で証言し、米財政赤字の拡大に警鐘を鳴らした。「財政運営が信認を失えば、他国のように(長期)金利が急上昇しうる」と指摘。連邦債務を経済規模の一定割合以下に引き下げることを目標に、強力な財政再建への政府の取り組みを促した。
FRB議長が米長期金利の見通しに言及するのは異例のこと。バーナンキ議長は「米公的債務の持つリスクを的確に示した歴史や経済理論はない」としつつも「(財政)再建へ向け行動しなければ(危機的局面へ)かつてなく近づく」と語った。欧州債務危機がいつ再燃しないとも限らない中、自国への波及に警戒をにじませた。

米経済が回復しても「相当大きな予算の構造ギャップが残る」と主張。高齢化による社会保障費増大に伴い、歳入の自然増などでは対処不能な深刻な状況に陥りつつあるとの見方を示した。具体的には国民所得に対する米連邦債務の割合をまず安定させるよう、超党派による財政再建の努力を呼びかけた。
バーナンキ議長が証言に立つのは、1月25日に中期政策金利見通しなどを発表した後では初めて。景気認識では家計部門が低調な半面、企業部門が比較的堅調だと説明したが、欧州不安で企業投資の伸びは鈍っているとの見方も付け加えた。