来年前半の原油価格は弱気予想

このところ、NYMEXでのNY先物原油WTI価格の回復が著しい。WTI期近物は10月4日、1バレル75.67ドルと約1年ぶりの水準に下落したものの、その後は欧州債務問題と米景気の二番底懸念緩和を背景に反転。11月中旬に6月以来の100ドル台を回復し、その後も底堅い推移が続く。このままなら年足は陽線で終えられそうだ。
90ドル近辺で始まった11年のWTI原油は5月上旬に一時114.14ドルまで上昇。順調な伸びに、このまま120ドル、130ドルまで突っ走るかに思われた。しかし、欧州方面の緊迫化とともにリスク資産のキャッシュ化が進行。景気悪化懸念からくる原油需要の減退思惑も嫌気され、短期間で実に40ドルも下げ、一時は70ドル割れも懸念されたが、欧州問題の緊張緩和を背景に10月以降、価格が上昇に転じた。

では今後のWTI原油はどのような動きが予想されるのか。この点については、しばらくは弱含みそうだとの見方が多い。要因としては、
(1)リビア情勢が落ち着き原油供給が可能になったこと
(2)NYMEXにおける投機筋の原油先物買い越し幅が、11月17日の17万3,407枚から12月6日には15万5,804枚まで減少
(3)買い持ち高も増えてはいるが売り持ち高はより増えたこと
――などだろう。その他、MFグローバル破綻による取引口座清算の影響を指摘する声もある。

株価や米経済指標、欧州動向も大きくWTI原油に影響するが、需給が弱いことは市場を強気にさせない。米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)は12月6日、先進国経済の需要が弱いことを理由に11年と12年の世界石油需要見通しを日量10万バレルずつ引き下げ、11年を8,813万バレル、12年は8,952万バレルとした。
世界的な景気の不透明感は強く、新興国需要が予想以上の伸びを見せなければ少なくとも12年上半期の原油価格は伸び悩みそうだ。