東電には東京都の公権力をもって対峙すべし

独自の天然ガス火力発電所の建設計画を進めている東京都の猪瀬直樹副知事は20日、来年6月の東京電力株主総会において、新規参入者が電力市場に参入しやすくなるような送電網の制度改革に関する株主提案を行うことを検討していると明らかにした。
東京都は東電への出資比率2.6%を保有する第3位の大株主であるが、猪瀬副知事は東京都の発電所構想の狙いについて「東電を改革するというメッセージだ」と強調した。

東京都は原発1基分に相当する100万キロワット級の天然ガス火力発電所新設の検討を進めている。すでに都内5カ所の候補地を選定し、11年度末に事業化計画に関する報告書をまとめる予定だ。猪瀬副知事は、都の検討会議の席上、「国のエネルギー政策の方向性や東電の総合特別事業計画などの動向、天然ガス価格など諸条件も留意しながら幅広く詰めていきたい」と発言した。

検討会議で猪瀬副知事は、新規参入者が電力会社の送電網を利用して顧客に電気を供給する場合に、供給側と需要側の電力量の差を一定範囲内で収めることを求める「同時同量」で厳しい条件を新規業者に課している一方、東京都の267施設のうち20施設で電力使用のデータを東電が取っていなかったと説明した。
送電網を外部に利用させる際の公平性が確保されていない一例としての指摘だ。過去に旧道路公団の民営化に携わった猪瀬副知事はインタビューで「東電も(道路)公団みたいなもの。独占企業体の東電に対して戦える公権力は東京都しかない」と語った。発電所計画は猪瀬副知事が発案し、すでに石原慎太郎知事の了承を得ているという。