短期的にはユーロも調整局面か

先週は、今年1月以来の1ユーロ1.30ドル割れを示すなど、ユーロ全面安の展開が目立った外国為替市場だった。
今週も、基本的には欧州情勢をにらみながらの展開が続くことが予想される。

市場の注目としては21日に実施される3年の長期資金供給オペ(LTRO=Long Term Refinancing Operations)に集まっている。この3年物のLTROは、今月8日のECB理事会で決定され、今回初めて実施されるものである。
通常3ヶ月物で行われているLTROだが、かつてはリーマン・ショックのあった09年に、1年物の資金供給オペが実施されたという実績がある。これは実質的な量的緩和効果をもたらすもので、このときには流動性の安定化に寄与し、信用に対する不安を軽減させたほか、約6100億ユーロという額のうち、かなりの部分が欧州債の購入に回ることで欧州債の買い支え効果も見られた。

今回のオペでも同様の効果が期待されており、サルコジ大統領などはこうした期待を寄せている。金融機関も同オペに対する期待感がかなり高いと見られ、予想される資金需要は当初見込まれていた1000億ユーロから2000億ユーロ前後に引き上げられている。
実際に、13日に行われた1ヶ月物のLTROへの応札がやや低調で金融機関において、この3年ものLTROにむけて担保を温存する動きが見られたほか、14日に行われたスペイン国債の入札が活況となったのは、担保利用を見越してのものだという見方が強まっているなど、事前の準備も着々と進んでいるように見受けられる。

実際に落札結果が好調となり、さらには欧州債購入に積極的な動きが見られるようだと、欧州への懸念が一服することが期待され、ある程度値を戻して年を越すということも十分に考えられよう。全体的なトレンドとしては、まだまだユーロ安の展開が続くとみているが、クリスマス前で新しい水準に突っ込むような動きが出にくいことも加わってか、短期的な調整は意識に入れたほうがいいかもしれない。