来年の経済関連イベント

今年も残すところあと2週間。長期投資で稼ぎの足しを作っているものにとっては、すでに来年のスケジュールを抑えておく必要がある。

12年のスケジュールを眺めてみると、世界の主要国で選挙が相次ぐ1年となる。
1月の台湾総統選挙を皮切りに、3月にはロシアの大統領選挙、4月にはフランスの大統領選挙、11月には米国の大統領選挙、12月には韓国の大統領選挙が実施される。さらに、秋には中国の共産党大会において習近平国家副主席が党総書記に選出される見通しとなっている。

米国の大統領選においては、年明け早々から始まる候補者選出の段階から世界中が注目する政治イベントとして11月の投開票までメディアを賑わせることになるだろう。
また、債務問題に揺れる欧州においては、イニシアティブを発揮すべき仏大統領の選挙が、問題解決にむけての動きに微妙な影響を及ぼす可能性もある。ただ、総じてどの国も財政面での制約が強く意識されてきており、新政権が誕生したからといって大胆な経済政策の転換は考えにくいだろう。したがって、選挙結果によってマーケットの方向性が大きく左右されるようなことはなさそうだ。
政治以外の世界イベントを見てみると、7月のロンドン五輪が注目されそうだ。「なでしこジャパン」などの活躍が、国内の個人消費を刺激する効果を期待したいところだが、テレビなどは今年の地デジ特需の反動が厳しいだろう。

また、国内イベントのほうを眺めてみると、3月11日までに東日本大震災からの復興対策の司令塔となる復興庁が設置される。先日、成立した第3次補正予算においては震災復興経費として9.2兆円が計上されたが、復興庁の始動によって、被災地の復興に向けたよりきめ細かな政策を、スピード感を持って進めてもらいたいところだが、実際はどうであろうか。
そして、7月からは「再生エネルギー特別措置法」が施行され、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」が始まる。原発事故で関心が高まった太陽光や風力など再生エネルギーが本格的な普及拡大に向かうことに期待したい。復興需要関連や再生エネルギー関連は、株式市場においても息の長い投資テーマとして折に触れて物色人気を集めることになるだろう。
さらに、産業面ではエコカーの普及も一段と進みそうだ。1月にトヨタ自動車が家庭用電源で充電できるPHV(プラグインハイブリッド)「プリウス」の発売を予定しており、ハイブリッドカーによって市場が急拡大したエコカー市場は新たなステージを迎えることになる。PHVやEV(電気自動車)の普及は、充電インフラの整備など新たな需要も喚起しそうだ。
その他、「東京スカイツリー」の開業や、日本航空の再上場、新日鉄と住金の合併、相次ぐ格安航空会社の国内就航などが株式市場に話題を与えてくれることになりそうだ。