レアル本格反騰への充電期間中

代表的な資源国通貨、ブラジルレアルが本格反騰に向かうための材料が、足元で整いつつある。
6日に発表された7-9月期のブラジル実質GDPは10四半期ぶりにマイナス成長(前期比-0.04%)を記録したものの、ブラジルではすでに政府、中央銀行が景気浮揚のための諸施策を推進中だ。

ブラジルのマンテガ財務相は1日、減税パッケージを発表した。その中には、外国人投資家による株式売買に賦課されていたIOF(金融取引税)の撤廃のほか、個人向け与信の金利引き下げ、白物家電の減税が含まれた。海外マネーのブラジル市場回帰に向けた呼び水になるだけでなく、与信や白物家電の減税で個人消費の復活を期す。一連の減税パッケージの効果は来年1-3月期にも発現すると予想され、もちろんレアルにもプラスに働く。
のみならず、緊縮財政路線を採用してきたルセフ政権が景気配慮に舵を切ったことで、インフレ圧力再燃の素地が生まれた。このため、ブラジル中銀の利下げ幅はこれまでの想定よりも縮小する可能性が出てきた。現在のところブラジル中銀は来年1-3月期まで利下げを継続するとみられているが、金利先安観の修正が進めば、これもレアル高要因となる。
ブラジル当局がこの夏まで「レアル高阻止」「インフレ圧力の抑制」の名目で進めてきた諸政策が今後順次解消されれば、そのいずれもがレアルの押し上げ要因になるという構図である。