来年はメガバンクにチャンス

今年は株式市場関係者にとっては、厳しい1年となったが、来年にかけての株高シナリオも見えてこない。そうした中で、今年の下げ相場の主役でもあった三菱UFJフィナンシャル・グループ三井住友フィナンシャルグループみずほフィナンシャルグループメガバンク3銘柄に株価復活のシナリオがあるとの見方が市場で広がっている。

欧州債務危機を受けて、EUは域内の金融機関に対して、PIIGS(ポルトガルアイルランド、イタリア、ギリシャ、スペイン)向けの債権の貸倒引当金の積み増し、自己資本比率の引き上げを強制する方針だ。その結果、欧州の金融機関は資本調達や資産圧縮(貸出抑制)、それとも公的資金の注入を受けるかを迫られる。
「いずれにしても欧州金融機関の国際競争力低下は避けられず、中東やアフリカ、アジアなどでの金融ビジネス展開に足かせがはめられる」(投資情報誌)という。

そこに日本のメガバンクの入り込む余地が大きく出てくるというのだ。日本の大手行はバブル崩壊以降、不良債権処理を進めながら、3大メガバンクに集約、資本増強も行った結果、別表のように自己資本比率などの財務体質は相対的に健全な状況にある。
さらに、余剰資金を海外貸出強化のための投資に振り向けるなど海外業務を一段と強化して、収益拡大のテコにする方針だ。その矛先が中東・アフリカ・アジアの各地域への展開なのだという。
大手証券の金融担当アナリストもこう指摘する。
「国内メガバンクギリシャアイルランドポルトガル国債保有しておらず、欧州危機のダメージが比較的少ない。今後は国内依存体質から脱却して海外収益を高める経営に移行することで中期的な収益拡大が見込まれるなど株高の条件は揃っている。PBR、PER、配当利回りなど株価指標面からも十分に投資採算が合うので、現状の歴史的な底値は絶好の買い場」
メガバンク株価の復活が、低迷東京市場の株価回復の牽引役となるか。


メガバンク株式関係データ】
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)(1株データ更新日:11/22)
PER=5.24倍、PBR=0.51倍、配当利回り=3.60%

三井住友フィナンシャルグループ(8316)(1株データ更新日:11/25)
PER=6.28倍、PBR=0.62倍、配当利回り=4.50%

みずほフィナンシャルグループ(8411)(1株データ更新日:11/29)
PER=5.42倍、PBR=0.61倍、配当利回り=5.77%