個人向け復興応援国債

「安住財務相の感謝状なんていらないから、その分の紙の印刷代を利子としてつけてくれ。」5日から全国の銀行や証券会社で販売が始まった個人向け復興国債の内容を見て、私は思わず突っ込んでしまったのだが、そんな声が聞こえたのかどうか、今度は「金貨・銀貨も付けようじゃないか」という新手の商売を始める財務省東日本大震災の復興財源にあてる個人向け復興国債で、記念に金貨・銀貨がもらえる新タイプの商品を来年3月から発売すると、財務省は6日発表した。

5日発売した個人向け復興国債から安住財務相の感謝状がついてくるようになったが、来年3月の発行分からは、名称もリニューアルしてさらに豪華な特典も付けることに。
新しく発売する復興国債の名称は「復興応援国債」。償還年数は10年で、利率は初めの3年間は、0.05%という固定の低金利となる。
金貨・銀貨は平成27年度に限定発行され、購入から3年間換金しなければ記念の金貨・銀貨(東日本大震災復興事業記念貨幣[仮称])がもらえるという仕組みだ。国債1000万円分の保有で1万円金貨を1枚、国債100万円分の保有で千円銀貨を1枚もらえる。ただし、記念貨幣の贈呈基準は、取扱金融機関(口座)別かつ回号(募集月)別に上記基準を満たした場合であり、国債保有合計額ではない点に注意である。
デザインは今後公募することになっており、復興応援国債の購入者以外にも抽選で販売する予定だ。

金貨・銀貨は流通市場で値上がりする可能性もあるため、財務省では、幅広い個人投資家に復興国債の購入を促す記念品になるとみているが、基本的に記念貨幣は国債とは異なり、償還の必要がないから貴金属金属の材料コストと鋳造コストを除いた分がそっくりそのまま財務省の懐に入ることになる。それにもまして、超低金利での資金調達が可能になるということで、まあ、濡れ手に粟である。
いろいろな手段を使えば、増税なんてしなくても、十分に国民の貯蓄を吸い上げられるではないか、と思ってしまうのは私だけであろうか。

なお、財務省発表によれば、額面1万円の金貨は純金で0.5トロイオンス(15.6g)あるということだから、現在の金の価値としては7万円ほどになる。だが、その間に失われる利子額は180,000円にも及ぶため、やはり一般の個人投資家にとっては、貨幣のプレミアムという点以外では全く割が合わない商品であることは言うまでもない。3年後に金価格がグラム1万円にでもなっていれば話は別だが…。