「必要な時に必要な分だけ」の保険が人気

旅行やスポーツで思わぬけがをしたり、持ち物を壊したりするトラブルに備える保険はさまざまある。ただ、たまにしか出かけないのに年間の保険に入るのはもったいない。そんなニーズに応えるようと携帯電話で簡単に必要な日数分加入できる保険が相次いで登場、人気を呼んでいるという。

東京海上日動火災保険NTTドコモと提携し、1日単位で携帯電話から加入できる自動車保険を10月に発売した。10年4月から携帯で申し込めるスポーツ、旅行保険などを販売してきたが、自動車保険にも参入。12年1月からソフトバンクモバイルKDDI(au)の携帯にも対応し、「ちょいのり保険」として本格展開する。
「自分の車を持たない若者が、たまに親の車を借りて運転する際などに簡単に入れる保険を目指した」と営業企画部の原田秀美さん。
自動車保険の主な契約のうち、運転者の対象年齢を30歳以上にしているケースは全体の約80%という。年齢条件を下げると保険料が高くなるため、車の所有者の保険を変更せず、借りて乗るときだけ事故に備えられるのが利点。対人・対物賠償無制限などで保険料は1日500円、300万円までの車両補償付きなら1日1000円だ。

損保ジャパンとソフトバンクモバイルが提携して10年12月からサービスを始めたのが「ソフトバンクかんたん保険」。スマートフォンに対応し、アイコン操作で簡単に手続きできる。携帯の暗証番号で個人情報を確認できるので、名前や生年月日などを入力する手間がない。
海外旅行保険(保険料1日1,060円-)と国内旅行保険(1泊2日300円-)、スポーツ・レジャー保険(1泊2日300円-)、ゴルファー保険(1日300円-)の4種。「最近はゴルフをする若い人が増えているが、続けるかどうか分からない初心者にとって年単位の保険は高い。そんな人たちが手軽に安い保険料で加入できる」と損保ジャパンマーケット開発部の中沢雄一郎氏は語る。

最近、問題になっている自転車が絡んだ事故の賠償保険に力を入れているのはau損害保険。あいおいニッセイ同和損害保険KDDIが共同出資し、今年5月から営業を開始した。目玉は月100円の保険料で最大1000万円の賠償責任を補償する「100円自転車プラン」だ。
10月末までの開業記念として売り出したが、反響が大きく11月から通常の商品に加えた。入院、通院費などの補償も加えた「自転車ワイドプラン」も好評。レジャー、ゴルフなどの保険も手掛けるが、福岡孝夫執行役員は「自転車保険は当社の契約の半分以上を占める主力商品。自転車関連イベントに参加するなどして、さらに普及させたい」と意気込んでいる。
入りたいときに必要な日数だけ加入する…損害保険もそんなスタイルが浸透していくのかもしれない。