豪ドル債券もそれなりのリスクが

11年10月の追加型株式投信(DC、SMA、ETF除く)のカテゴリー別純資金流出入額をみてみると、先進国債券や先進国株式は大幅な資金流出となっていたことがわかった。また、分配金利回りの高さから注目されてきた海外REITに加え、ブラジル債券やハイ・イールド債券からも資金が流出した。個別ファンドでみると、グローバル・ソブリン・オープンが745億円の純流出となったほか、ダイワ・グローバルREIT(毎月分配型)は254億円、ラサールグローバルREIT(毎月分配型)は147億円の純流出となった。

だが、その一方で、国内債券や豪ドル債券には資金が流入した。個別ファンドでみると、短期豪ドル債オープン(毎月分配型)が315億円、ダイワ日本国債ファンド(毎月分配型)が219億円の純流入となったほか、通貨選択型ファンドでも豪ドルコースへの資金流入が目立った。
国内債券については、欧州諸国の債務危機の懸念から、円高傾向が続いており、過度に為替リスクをとることを避けようとする投資家が増えていることが一因と推測される。
豪ドル債券については、欧州諸国の中では格下げとなる国が相次ぐ一方で、豪州は米国の大手格付け会社から最上級の格付けを与えられている点が投資家の買い安心感につながっている。
また、国債の利回りを比較すると、米国やドイツの2%前後に対し、豪州やニュージーランドは高格付けでありながらも4%前後と、先進国の中でも相対的に高いことが人気を集める要因となっている。

豪ドル債券は、高格付けで高利回りと、いいことづくしのようにも思えるが、意外にリスクが高い点には留意が必要である。11年10月末までの過去5年間の標準偏差をみると、豪ドル債券は海外の株式やREITよりは低いものの、国内株式とほぼ同水準にある。豪ドル債券価格が大きく変動する可能性はそれほど高くないものの、外国為替市場における豪ドル円レートの変動率が高いことが主因である。同期間における月末ベースでの豪ドル円レートの推移をみると、1ドル105円から62円前後とかなりの幅がある。つまり、リスクを避けるつもりで複数の先進国・新興国債券ファンドから豪ドル債券ファンドに資金をシフトさせたことが、中長期的にはより高いリスクをとりに行ってしまっている可能性があるということだ。