オリンパスはプロキシーファイトの気配

米ニューヨークに滞在しているオリンパスマイケル・ウッドフォード元社長は日本時間12月1日に記者会見を開き、同日付で同社の取締役を辞任したと表明。
10月に同社の損失隠し問題で不透明な資金の流れを指摘して社長を解任された同氏は、現経営陣の刷新を図るため、来年2月までに臨時株主総会の開催を会社側に求める考えも示した。株主と連携して委任状争奪戦(プロキシーファイト)に持ち込む構えだ。

ウッドフォード氏は、取締役を辞任することで現経営陣を一掃でき、自身の復帰につながると話し、「オリンパスに戻り、(世界的な企業としての)地位に導きたい」と述べた。まだ選定していないが、自身で新たな取締役候補を推薦し、新しい取締役を選出することに期待を示した。また、一部の既存株主とすでに取締役会刷新に向けた選択肢について話をしており、「強引なものや敵対的なものにはならない」とも語った。
同氏はまた、「米国や海外のヘルスケア企業へのオリンパス売却に自分が関わるつもりはない。関わりたくない」と述べ、海外企業による買収を自らが中心となって進める考えはないと話した。関連した打診を複数から受けたが、拒否したことを明かし、オリンパスが引き続き日本の上場企業として日本人を中心に経営されることを望むと述べた。
岡三証券投資戦略部の石黒英之・日本株情報グループ長は、ウッドフォード氏の行動について「オリンパス内視鏡ビジネスは魅力がある。周りから打診されて、ウッドフォード氏が主導する買収シナリオも可能性としてあるのではと感じていた」と話し、「これまで市場ではウッドフォード氏の発言はプラスに働いてきたことが多い」として、好意的に受けとめられるとの見方を示した。

臨時株主総会の開催を会社側に要求するためには、総議決権の3%が必要となる。また、総会で取締役を選任するためには、決議に参加した議決権の過半数が必要となる。同氏は会見ですでに複数の株主と接触していることを明かしている。臨時株主総会の開催にこぎつけるため、また現取締役を退任に追い込むために、ウッドフォード氏が株主の協力をどれだけ得られるかが注目される。
5%を保有する筆頭株主の米運用会社サウスイースタン・アセットマネジメント、4%を持つ英投資ファンドのベイリー・ギフォードといった海外株主は、取締役会メンバーの早期交代、ウッドフォード氏の復帰と同氏が経営再建の陣頭指揮を執ることを求めている。サウスイースタンは1日、あらためて臨時株主総会の開催と新しい取締役の選任を要求すると発表、オリンパスには信頼できる取締役と監査役が必要と強調した。

かつて筆頭株主だった日本生命は11月17日付の大量保有報告書によってオリンパス株を一部売却したことが明らかになっており、グループでの保有比率が8.18%から5.11%に低下したが、オリンパスの支援を継続する方針を示している。
11月22日付の大量保有報告書では、ゴールドマン・サックスのグループ3社がオリンパス株を計6.67%保有していることが明らかになっている。いずれもトレーディング目的としている。