今年度の主要企業業績は下方修正多く

13年3月期の主要企業の業績見通しについて、証券大手3社が、3カ月前の前回予想をそろって下方修正した。円高や、欧州債務問題に伴う世界経済の減速が重荷となっているためで、東日本大震災からの回復シナリオに影を落としている。

SMBC日興証券は金融と電気.ガスを除く主要209社の今期について、5月時点で前期比23.8%増としていた経常利益予想を15.9%増と7.9ポイント引き下げた。大和証券は6.7ポイント低い13.8%増、野村証券も4.1ポイント低い13.3%増に、それぞれ引き下げた。
修正幅が大きいのは、海外依存度が高い電機や素材などの製造業だ。特に電機は韓国勢や中国勢に押される中で、世界的な需要減が打撃となったほか、円高で輸出採算も低下。シャープとソニーは、第1四半期(4-6月期)決算の発表と同時に通期の連結最終損益予想を下方修正した。

新興国経済の減速も懸念材料だ。コマツは今期の売上高を2兆1千億円と予想していたが、中国で建設機械の需要回復が遅れているため、1兆9700億円と2兆円を下回る見通し。三菱ケミカルホールディングスも、石油化学製品の需要減を理由に4-9月期の最終利益予想を110億円からゼロに下方修正した。

13年度の経常利益については、SMBC日興証券が0.5ポイント高い前期比19.5%増とするなど、3社とも予想を引き上げた。ただ、13年度の上方修正は、12年度の下方修正によって相対的に上昇した側面が濃い。SMBC日興証券の阪上亮太チーフ株式ストラテジストは、「世界経済の先行きが不透明で、円が高止まりするなか、業績回復がさらに遅れる恐れもある」と指摘する。