気になる米個人消費動向

今週は週の初め16日に3月の米小売売上が発表される。
6日に発表された3月の米雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比20.5万人増の予想に対して、わずか12万人増と、かなりサプライズな結果になったわけだが、小売や人材派遣など、流動性の高い雇用が軒並み下落しており、今後の先行き見通しなどが後退してきていることを示す数字に、それまでそれほど大きくなかった追加緩和期待が再び台頭。
6月19日、20日に行われるFOMC(米公開市場委員会)でのQE3実施に向けて市場の見通しが分かれる状況となっている。
 
直近の雇用統計を除けば、他の指標はそれほど弱いものでもなく、雇用統計にしても、それまで3ヶ月連続で前月比20万人を超える増加を示すなど、基本的には堅調であっただけに、雇用統計の数字だけでなく、その他指標もかげりが見えてこないと、QE3は難しいのではとの見方もある中、個人消費を示す重要指標である小売売上への注目度が上がっているという状況だ。
 
ちなみに、3月13日に発表された前回の小売売上(2月分)は前月比1.1%増と、5ヶ月ぶりの大幅増だった。原油高にもかかわらず自動車販売の数字が好調で、全体を支えた格好だった。また原油高を受けてガソリンスタンド売上も大きく上昇していた。
原油高でガソリンへの消費が増えるとその他の出資が抑えられる傾向にあるが、百貨店が1.5%増、衣料品が1.8%増、スポーツ趣味用品が1%増など、広範なセクターで売り上げ増がみられ、好調な消費性向が確認できる強い数字となっている。
そうした状況だけに、相関が高い6日の雇用統計なども、期待が強まっていたともいえるが、実際に弱めの雇用の数字が出た後の今回の小売売上はどうなるだろうか。
 
今のところ予想は前月比0.4%増。前回が強すぎた分、少し弱めの印象があるが、まずまずの数字。自動車を除くコア部分は、前回の0.9%増に対して0.6%増とこちらも前回ほどではないにせよ、まずまずの数字だ。
前回の自動車が強すぎたため、自動車販売自体は、前月比でマイナスになる可能性もあるが、月初に発表された米新車販売台数は、前年同月比で12.7%増の140.5万台。年率換算では1440万台となり、2月の1510万台からは弱まったものの、3ヶ月連続で1400万台越えとかなりの高水準です。
また、ガソリン価格が2月の1ガロン辺り3.64ドルから、3月は3.907ドルまで上昇。昨年5月以来の高水準となっており、ガソリンスタンド売上はおそらく上昇するもののさすがに、他の消費を抑えてくるのではとの思惑もある。
 
予想程度であれば、見た目ほどの弱いインパクトはなく、QE3への思惑も、まだ一本化はされないと思われるが、予想以上に弱く、ゼロに近いもしくはそれ以下の数字が出てくるようだと、QE3期待が一気に高まってきてドル売りにつながる可能性があるので注意はしておくべきだろう。
発表は日本時間で16日21時30分である。