日銀の中間決算は1362億円の赤字

日本銀行が28日発表した11年9月中間決算は、最終損益に当たる当期剰余金が1362億円の赤字(前年同期は1604億円の赤字)だった。中間期の赤字は3年連続。歴史的な円高を背景に外国為替関係で3904億円の損失を計上したことに加え、景気下支えのために購入した上場投資信託(ETF)の評価損が442億円に膨らんだ。赤字が続けば国庫へ納付できなくなり、政府の財政政策に影響を及ぼす可能性もある。

日銀は昨年10月、市中に潤沢な資金を供給する目的で、金融資産買い入れ基金を創設。その後幾度かにわたって買い入れ枠を拡大し、現在では、12年末までに買入残高の総額は20兆円程度、貸付残高の総額は35兆円程度の合計55兆円規模を上限にして、社債ETFなどの比較的リスクの高い資産を購入している。
上限の詳細は以下の通り。
利付国債 9兆円程度
国庫短期証券 4.5兆円程度
CP等 2.1兆円程度
社債等 2.9兆円程度
指数連動型上場投資信託受益権(ETF) 1.4兆円程度
不動産投資法人投資口(J-REIT) 0.11兆円程度

これまでにETFは7934億円(11月18日現在)を購入したものの、株式市況の低迷で評価損(9月末時点)は3月末の21億円から20倍以上に膨らんだ。他にも社債は52億円、上場不動産投資信託(J-REIT)は23億円の評価損を出している。

日銀は財務の健全性を示す自己資本比率の目標を8-12%としているが、銀行券の発行増により7.23%と前年度末に比べて0.13ポイント低下した。
日銀は「財務の健全性に問題はない」としており、買い入れのオペレーションには現時点での変更はない。ただ、今後、株式などの市況が回復しなければ、財務内容がさらに悪化する恐れがあり、厳しい経営を強いられそうだ。