増加する大手企業の赤字転落

日本を代表する大手企業が次々と赤字に転落している。震災や放射能漏れの影響で業績がガタガタになった東京電力は当然としても、AV家電の雄であるパナソニックソニー、ゲーム機の任天堂半導体関連のローム、自動車のマツダ、紙パルプの日本製紙グループ本社など優良企業の業績不振が目立つ。大手21社の赤字額(最終損益)を積み上げると約1兆3327億円。前代未聞の悪化ぶりだ。
この状態について、東京商工リサーチ情報本部長の友田信男氏は次のように語っている。
「大手企業といえども、震災や超円高に襲われたらひとたまりもない。ただ赤字転落の原因はそれだけではない。パナソニックソニーのテレビ事業不振に代表されるように、ビジネスモデルが崩壊してしまったのだ。これまで収益を上げていた事業で儲けられなくなったのに、利益の上がる次のビジネスを見つけられない。それだけに今回の業績悪化は深刻である」と。
そこに欧州危機や超円高、タイ洪水被害が重なり、もはや企業に打つ手はほとんど残っていない。

みずほ証券リサーチ&コンサルティングの統計によると、11月18日までに12年3月期決算(通期)を下方修正した東証1部(金融除く)企業は258社で全体の22%。赤字転落に至らなくとも、決算予想の下方修正を余儀なくされた会社が続出しているのだ。
「これから年末にかけて下方修正はもっと増えるだろう。赤字に転落する企業も多いはず。年明けの倒産件数が一時的に現在の50%増になってもおかしくない」(友田信男氏)とのことだ。
10月の倒産は8カ月ぶりに1,000件を下回る976件だったが、来年1月には1,500件近くに増える危険性が高まっているということだ。
企業業績が好転する材料は復興需要ぐらいしか見当たらないが、それも遅々として進まない。日本経済はどんどん深みにはまっている。