ブレグジットが是なら、空中戦で円高?

「円は多くの通貨に対して上昇する」
著名投資家のジム・ロジャーズ氏は、近い将来の為替見通しについて、このように見ているという。相対的に安全通貨としてドルが買われるが、円もやはり買われるという。
ドルと円の相対評価では、円が勝ると見ているようだ。

そして、いわゆるブレグジット、すなわち英国の欧州連合(EU)離脱には、やはり強い警戒感を示している。
ジム・ロジャーズ氏といえば、70年代にジョージ・ソロス氏と共同で元祖ヘッジファンド「クォンタム・ファンド」を立ち上げ、90年代にソロス氏はポンド売り攻勢に勝負をかけ、成功をおさめた。英国通貨当局とは戦いの因縁があるのだ。

ブレグジットともなれば、ポンドは暴落。ドルと円が買われる」
EU離脱を問う英国民投票は、ヘッジファンドに願ってもないチャンスを与えている。しかも、今回は人工知能(AI)によるアルゴリズム売買という新兵器で重装備している。90年代と異なり、勝負は数時間でついてしまう。

投票結果で「離脱賛成」が上回れば円は対ドルで100円、「離脱反対」なら110円。これがNYにいる多くのヘッジファンドが共有するコアレンジだ。オーバーシュ―トして98円あるいは113円程度も視野に入る。いずれにせよ、その絶対差は10円以上。それが数時間で決着する。
通貨当局の立場で見れば、ヘッジファンドとの戦いというより、AIとの神経戦という未体験ゾーンである。
これまでの「市況の法則」はあてはまらない。仕手筋の空中戦だ。そこに必要となれば当局が介入する。個人投資家は近寄らないほうがよいのかもしれない。