見ざる、聞かざる、言わざる

ことわざの本来の趣旨は他人の過ちや自分に都合の悪いことなどは「見ない、聞かない、言わい、ない」ことだという意味。いわゆる処世術を説く。

相場格言に生かされた解釈は「やたら情報ばかりに目を向けるな、他人の意見を聞き過ぎるな、自分の売買相場観などはしゃぺるな」といった。“三戒”だ。

ことわざの起源は陰陽五行思想に由来する。中にある「干支の庚申(かのえさる)」に関わる故事からの引用だ。「申」を「猿」になぞらえる。

人間の内にあって悪事を監視する役目をになう神の僕が、その内情を天帝に報告する日が庚申の日」。やましさを持つ人間たちは神の僕に「何も知らないことに…」と哀願する。

哀願を表すのが、両手で目・耳・口をふさいだ三猿の姿。日光東照筥にある有名な彫刻の三猿がよく知られる。

相場格言としては「三猿」が相場道の「三戒」だ。いわく「周りの雑音に惑わされず冷静に自分の信念で行動せよ」と。

同義の格言でいう「意見を聞くなら一人だけ」「他人に頼るべからず、自力を頼るべし」「相場師は孤独を愛す」などだろう。