イールドカーブとデュレーション

欧州ソブリン危機を理解するに当たっては、短期金利長期金利を区別することが重要だ。欧州で高騰しているのは長期金利であり、イタリアの国債利回りは昨年秋に7%を超えた。これに対して、短期金利は1%を下回る水準となっている。
この関係をもっと詳しく、かつ分かりやすく示しているのが「イールドカーブ」と呼ばれるグラフである。横軸に償還までの期間、縦軸に利回りをとり、償還までの期間ごとに利回りをプロットしたものだ。欧州では、イールドカーブが傾斜の急な右上がりの曲線になっている。これは、金融緩和期、あるいは将来に対するリスクが高い時に見られる現象である。
短期金利が低いのはECBが金融緩和しているためだ。中央銀行が供給するのは短期資金だから、緩和しているのは短期金融であって、長期金融ではない。長期金利が高いのはユーロの行方が混沌としているためだ。これに対処するためには公的機関が長期国債を購入することが必要だが、それは損失につながる可能性が高いので敬遠されているのである。
国債のリスクを表している今一つの市場指標は「デュレーション」である。これは市場に存在する国債の償還までの平均期間を表したものだ。
日本でこれがいま、短期化している。11年3月末での平均残存期間は6年8カ月である。この程度の期間中には、日本国債の国内消化に問題が起きるとは考えられない。したがって、償還までに持ち続ければ、仮に市場価格が下落しても損失を被ることはない。ただし、その期間は7年よりは長くないと予想されているということである。