人の行く 裏に道あり 花の山 いずれを行くも 散らぬ間に行け

有名な格言の一つだ。一般には前半の句「人の行く裏に道あり花の山」だけが知られている。直訳すれば、「きれいな花を求めて山に行くのなら人の行かない裏道を行け」といったところだろう。

深意は、「誰もが行く道を一緒に行っては、ゆっくりと花を楽しめない」ということ。相場道に言い換えれば、「人と同じ投資行動をとっていてはダメ。人とは逆を行け」という「逆転の発想」の教え。
人は周囲のムードに左右されがちだ。皆が強気で市場が買い人気で沸き返っていると、つられて買いに走ってしまうもの。しかし、そんなときには「裏を行け」。つまり人とは逆に売るべきだということ。
市場が人気に沸いているときは、えてして相場は天井圏にきているからだ。反対に人気離散して総弱気になっているときは、底値圏にある。だから、逆に買い時。裏を行くのが成功への道だという意趣旨である。

句の後半で言っているのは「人と同じ道を行く(順張り)にせよ、裏道を行く(逆張り)にせよ、花が散らない(利が乗っている)間に行け(売買せよ)」といったところだ。
同義の格言は洋の東西を問わず枚挙に暇がない。ずばり「人が売るときに買い、人が買う時に売れ」という金言もあれば、「あなたが切り開き、手を加えそして歩く道は、通る人の少ない道である。」(ジョン・A・ボリンジャー)、「野も山も皆一面に弱気なら、阿呆になりて米を買うべし」(三猿金泉秘録)、「十人が十人片寄るときは決してその裏くるものなり」(本間宗久)といったものまで…。